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窒化ホウ素:高温安定性を誇る固体潤滑剤の特性と応用

DATE:2024-08-30 15:26:39

窒化ホウ素(BN)は、その独特の結晶構造と化学的特性から、優れた固体潤滑剤としての用途が広がっています。他の固体潤滑剤との比較を含めて、以下にその特色と適切な使用方法について説明します。

1. 窒化ホウ素の潤滑性の理由

窒化ホウ素は、六角網目の積み重なりとして表される結晶構造を持ち、グラファイトに似た構造をしています。この構造により、c軸方向(積み重なり方向)への結合力が弱く、a軸方向(六角網目方向)では滑りやすい特性があります。このため、固体でありながら優れた潤滑性を発揮します。さらに、層間にガスが吸着されることで層間結合が弱まり、潤滑性が向上します。

2. 窒化ホウ素の特徴

(1)優れた熱的特性

窒化ホウ素は高温環境でも安定性を維持し、酸化雰囲気中で900℃、真空中で1,200~1,300℃、不活性雰囲気で約2,000℃、窒素加圧下では約3,000℃まで使用可能です。

(2)化学的安定性

窒化ホウ素は多くの金属や溶融物に対して濡れ性や反応性が低く、耐化学性にも優れています。

(3)無毒で純白色

窒化ホウ素は無毒で白色であるため、作業環境を汚染せず、安全に使用できます。

(4)優れた電気絶縁性

高温でも電気絶縁性を維持し、高周波域での絶縁材料としても適しています。

(5)機械加工が容易

旋盤、鋸、フライス加工など、金属や黒鉛と同様の加工が可能です。

3. 他の潤滑剤との比較

窒化ホウ素は、黒鉛や二硫化モリブデンといった他の固体潤滑剤と同様に使用されますが、特に高温環境での安定性に優れています。例えば、黒鉛や二硫化モリブデンは400~450℃程度で酸化が進行し、潤滑性が低下しますが、窒化ホウ素は900℃前後まで安定して潤滑性を維持します。

4. 使用形態

窒化ホウ素は以下のように使用されます。

  • 流動体に分散: 窒化ホウ素をシリコーン油やフッ素油に分散させ、高耐熱性の潤滑剤として使用。
  • 乾燥被膜として: 水や有機溶媒に分散させた窒化ホウ素を乾燥させて被膜を形成し、潤滑剤兼離型剤として使用。
  • 成形物として: 樹脂や金属に窒化ホウ素を充填した成形物として使用。

5. 流動体に分散させる方法の利点と問題点

窒化ホウ素を流動体に分散させることで、高耐熱性を持つ潤滑剤として、航空機やロケット、エンジンオイルなど様々な用途に利用できます。ただし、経済性を考慮して、効果を得られる最小限の添加量で使用することが一般的です。

6. 乾燥被膜として使用する利点と問題点

窒化ホウ素の乾燥被膜は高荷重や高速での潤滑、離型用途でよく使われます。バインダの種類により潤滑性や基材への付着性が変わるため、適切なバインダの選定が重要です。

7. 成形物として使用する利点と問題点

窒化ホウ素を含む成形物は、潤滑性と耐摩耗性を兼ね備えており、バルブ弁座やメカニカルシールなどに使用されます。ただし、焼結性が悪く、強度の高い成形体を得ることが課題です。

このように、窒化ホウ素はその高温安定性、化学的安定性、電気絶縁性などの特長を活かし、多くの産業分野での潤滑用途に適しています。他の潤滑剤と比較しても、その優れた性能から特定の条件下での使用が推奨されます。

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